The side of Paradise ”最後に奪う者”
「殴られるのを覚悟のデリカシーの無い話なんですが」
成介はウィスキーの水割りを注文した。
「それを注文する時点でデリカシーが無いから安心しろ」
成介が苦笑する。
「飲まないと言えないので」
「それは珍しい。
沈着冷静、西園寺のためなら何事にも動じないお前が」
「冷酷非情と言いたいんでしょ」
いつものやり取りに綺樹はくつくつと笑った。
「で、なに?
もう対外のことは驚かないように出来てるよ」
成介は半分ほど蒼って、隣に座っている綺樹にきっちりと顔を向けた。
「卵子を提供しませんか?
体外受精をさせ、代理母に産ませます」
綺樹の表情が止まったのに、成介は苦笑いをして顔をグラスに戻した。