The side of Paradise ”最後に奪う者”

「あの男はなんだか本当に結婚し無そうな気配になってしまってね。
 火遊びの件といい。
 跡継ぎに困っているんです。
 血が繋がっていない養子は家風的に駄目です。
 どこかに子供だけ産ませてきてくれないかと言って見たんですがね」

「言ったのか?」


驚いた。


「言いましたよ。
 あれだけ愛人を作ったことがあるんですから、お手の物でしょ。
 馬鹿呼ばわりされましたが」


綺樹は容易に想像がついた。


「で、涼にその方法も言ったのか?」

「もちろん。
一蹴されましたけどね。
あの人、そういう人工的なこと、嫌いでしょ」


それを聞いた綺樹の顔が奇妙な表情になった。
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