The side of Paradise ”最後に奪う者”
「そうだね。
あいつはそうだと思うよ」
「未だに、こうのとりが運んでくると思っているような男ですからね」
その台詞に綺樹は半分心あらずの微笑をした。
成介はその横顔を見つめる。
「違うこと、思いつきましたね」
綺樹が顔を向ける。
目がいたずらっぽく光っていた。
久々に見る生気のある顔だった。
「ああ。
本当に成介。
いいことを教えてくれたよ」
成介は、綺樹がそこにすぐ結びつけるとわかっていた。
「それを実行するのは、ちょっとだけ待ってもらえませんか。
もう一度、あの男に話してみたいんです。
あなたもどうせならバンクを頼らず、身元のわかる父親のほうがいいでしょ」
その言い方に綺樹は笑った。