The side of Paradise ”最後に奪う者”
「どうかな。
わからないほうが、煩わしくなくていいかも。
自分で勝手に育てられる」
「頼みますよ」
成介の真剣味を含んでいながら、投げやりの頼み方に綺樹は少し首を傾げた。
疲れたようにグラスに口をつけている。
「あなたに切られちゃうと、本当に西園寺の後とり問題はエンドになってしまうので」
「血族結婚を繰り返しすぎだ」
「そうですね」
素直な返答に綺樹はちらりと見た。
「ゆくゆく、こういう問題になるとわかっていただろう」
「何百年も続いた習慣はそう簡単には変わりません。
その上、なんとかここまで断絶しませんでしたしね」
西園寺は財産の拡散を防ぐために、血族結婚を繰り返してきた。
外から妻に娶った場合では、西園寺の血を引く夫が早世すれば、今度は兄弟の妻となった。
あるいは、そのおじや従兄弟の。
血が濃いのだ。