The side of Paradise ”最後に奪う者”
「知っています。
あなたよりも苛酷なのを知っているかもしれません」
綺樹は書類の縁を弄んでいた手を止めて、成介の固い顔を見た。
初めて自分を晒して、この男はどういう作戦に出たのだろう。
「あんな遊び人の内面を見抜いて、そこをいじって夢中にさせる作戦が立てられるなら、同じ事をあの男にもしたらどうです?
代替はむなしいし一時だけですよ。
知人関係はあなたたちに無理です」
「NYに追っかけてくるようにしたら、困るのはそっちだろう?
大体、友人関係にしろと差し向けたのはおまえだ」
あんな大変な過程を踏んだ。
綺樹は不機嫌な顔になった。
「状況は変わります」
涼の性格も。
「今のままだと一生結婚しないでしょう。
あなたとも知人関係で終わりだ」
綺樹は両足を持ち上げて、椅子の上で膝を抱えた。