The side of Paradise ”最後に奪う者”
「残念なことに、涼にはちっとも作戦が考えられないんだ。
なんとかは盲目とは言ったもので、分析しても迷いが生じ、目が曇っているのではないかと思う。
冷静な判断が出来ない。
ここまで来てしまったら、もうどうしようもないよ。
諦めろ」
成介はため息をついた。
「一つ、聞きますけど。
あなた諦められるんです?」
綺樹が優しい微笑した。
「違うよ成介。
互いに言っている諦める内容が違う」
「そうですね」
綺樹は抱えた膝に顎をのせた。
「涼を想う事は。
諦めないよ」
しばらく成介は窓を眺めている綺樹の横顔を見つめていた。
澄んだ綺麗な横顔。
やがてため息をついた。