The side of Paradise ”最後に奪う者”
「相変わらず、早いな。
いいのか?
あいつは追いかけないぞ」
いいのかと何で聞くのかわからない。
綺樹は憮然とした。
「追いかけられたら困る」
涼は軽く笑った。
「おまえに手を出したことは殺したいほどだけど、その点は同情するな」
綺樹はじっとしていた。
「まあ、既にずっと一人から追っかけられているもんな。
増えたらおまえも困るだろう」
綺樹は涼の言葉の真意がわからなかった。
「外に出よう。
早いけれど飯でもどうだ?」
綺樹は手元の論文を見た。
今日はわざわざ仕事を早く切り上げて来たのだろう。
今の涼の予定はかなりタイトなのは知っていた。
改めてにしてくれと言ったら大変だろう。
自分はまた明日ここに来て、やり直してもいいのだ。