The side of Paradise ”最後に奪う者”

「そういえばそうだね」


綺樹の答えは、可とも不可ともとれた。

涼は車を発進させた。

西園寺の屋敷が見えてきたのに、涼が取った選択がわかった。

都合のいい方を取ればいいと思っていたし、それによってこちらの提案をどう思ったか図れる。

綺樹は車から降りて屋敷を見上げた。

ここに連れて来たと言う事は、知人でも上の部類なんだな。

見知っている執事の藤原が、玄関から出てきて出迎えてくれるのに微笑した。

涼が着替えてくると言って、自室へと階段を上がって行く背を見送る。


「すっかり馴染んだな」


独り言ともつかない言葉に、藤原は黙って微笑していた。


「立派に務めを果たされています」

「そう」


綺樹はその場を見回した。
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