The side of Paradise ”最後に奪う者”
社長業のほか、西園寺の家のこともあっては大変だろう。
1回目の結婚のときに少し齧った綺樹は想像がついた。
ウルゴイティの当主としての経験からも、両立は厳しいだろうと思った。
早く妻が出来て、任せられれば楽だろうに。
「いい奥方が来るといいな」
そっけない物言いに、藤原が少し微笑を引っ込めた。
綺樹はその様子を見る。
なんだろう。
もう、そういうのが出入りしているのか。
あれこれ考えるのに面倒になり、玄関ロビーに置いてあるソファーに腰を下ろした。
「藤原もそろそろ引退したいよな。
涼に言っているか?
後継者は育てているか?」
「それがなかなか」
「確かに今の時代、執事の後継者は難しいな。
涼の妻に仕込んだ方がいいだろうな」
「なんだって?」
涼が降りてきた。