The side of Paradise ”最後に奪う者”
「おまえの胃袋を掴んだんだったな」
くすりと笑いかけると、綺樹はただふっと微笑しただけだった。
「記憶、何時ごろから戻り始めたの?」
「おまえが地下駐車場で、初めて発作を起して倒れた時」
「そう、か」
ずっと前から感づいていたのだろう。
そう驚いた様子ではなかった。
「話って?」
静かに問いかけてきた。
涼は鍋に水を張って火にかける。
「後でな。
これ筋とって」
インゲンを置かれる。
綺樹は過去に教えてもらったとおりに始めた。
「体外受精、代理母出産だろ?」
「それだけじゃない」
涼はそっけなかった。