The side of Paradise ”最後に奪う者”

「おまえの胃袋を掴んだんだったな」


くすりと笑いかけると、綺樹はただふっと微笑しただけだった。


「記憶、何時ごろから戻り始めたの?」

「おまえが地下駐車場で、初めて発作を起して倒れた時」

「そう、か」


ずっと前から感づいていたのだろう。

そう驚いた様子ではなかった。


「話って?」


静かに問いかけてきた。

涼は鍋に水を張って火にかける。


「後でな。
 これ筋とって」


インゲンを置かれる。

綺樹は過去に教えてもらったとおりに始めた。


「体外受精、代理母出産だろ?」

「それだけじゃない」


涼はそっけなかった。
< 763 / 819 >

この作品をシェア

pagetop