The side of Paradise ”最後に奪う者”

記憶が無かったからわからなかった。

あきらかにおかしかったのに。

記憶が戻っていれば、早く医者に診せていた。

そして発作をくい止められていた。

完全に寝付いたらしいところでお湯から出た。

バスタオルでくるんでベッドに運ぶ。

眠りが浅いほうだったのに。

昏々と眠っていて起きる気配は無かった。

出会った頃のイメージで見てしまうのは、体力だけではなく外見もだった。

普段、あまり気に留めていなかったが、ふと改めて綺樹の顔を見て、食い入るように見つめてしまうときが
あった。

もともと整っていたんだと思う。

最初に校門に立っているのを見たとき、綺麗な女の子だなと思ったのだからそうだろう。

でもこんな風にいつ妖しい女の顔になってたんだろうか。
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