The side of Paradise ”最後に奪う者”

  *

目覚ましが鳴る音に涼は目を開けた。

はっとして隣を探ると綺樹はまだ寝ていた。

最後に寝せた姿勢から変わっていない。

涼は不安を感じて肩を掴むとゆすった。


「綺樹?
 朝だぞ」


目を開けて目の前をぼおっと見ている。


「ああ。
 朝?」


身動きして自分が涼の寝巻きを着ているのに気が付いた。


「着せてくれたの?
 ありがとう」


ゆっくりと起き上がった。


「大丈夫か?」

「うん。
 少しだけぼおっとしているから、後で洗面所を使わせて」


ベッドに腰掛けて本当にぼおっとしている間に、涼はシャワーを浴びて身支度をした。

続いて綺樹が身支度を終えると、アルコーブで朝食を取り始める。
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