The side of Paradise ”最後に奪う者”
綺樹は八つ当たりするようにパンをちぎる。
以前のようなウルゴイティの問題はもはやない。
ダバリードも退職してしまった今、今後どうなるかわからない。
涼はこのふてぶてしさだ。
問題といえば。
この心臓だけだ。
綺樹の顔が真剣に物思いにふけるのを涼は見ていた。
唐突に顔を上げた。
「条件がある」
涼はご飯を口に入れた。
「どうぞ」
「一つ目は籍を入れるのは止めよう」
「一体、いくつあるんだ」
「三つだよ」
「何とかの願い事みたいだな」
「おまえ、真剣に聞いてるの?」
「次は?」
「二つ目は子供が成人したら私は出て行く。
三つ目は、今回は火遊びも愛人も許さない」
寝れない分、他の女とそれをされたら、どちらが妻かわからない。
涼は味噌汁を飲みながら目を合わせた。