The side of Paradise ”最後に奪う者”

「わかった。
 今後の状況次第だな」


綺樹はぽつりと言うとコーヒーに口をつけて、ごちそうさまと呟いた。

なんだか顔が俯き加減だ。

涼はぐしゃぐしゃと綺樹の頭をなぜた。


「なんで落ち込んでいるんだ?」

「別に」


されるがままでいた。

涼が先に死ぬなんて思いもしなかった。

確かに理屈ではその通りだ。


「ほら、行くぞ。
 今日は大学で仕事だろ。
 いつもの時間に迎えに行くから。
 そうしたら荷物をまとめて、今日からここに戻れよ。
 交渉成立で事実婚となれば、今から夫婦ということだ。
 楽でいいな」


涼は軽快な笑い声をたてる。


「今からか?」


綺樹はぎょっとした。
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