The side of Paradise ”最後に奪う者”
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成介は出勤して秘書たちの前を通り過ぎて執務室に入っていく涼を目で追った。
椅子に座るのを待って、執務室のドアを叩く。
「で、条件はなんでした?」
のっけから聞く。
涼が口を開いたのに成介は片手を振った。
「あなたの、だらしない、にやけた顔を見ればOKが出たのは明らかです。
条件はなんでしたか?」
涼は軽く笑った。
「条件が出るのまでお見通しか」
涼は綺樹が言った条件を繰り返した。
成介が眉根を寄せる。
「内容までもお見通しだったか?」
涼は椅子の背に寄りかかった。
「3番目だけですね。
仕事のことが出てくると思っていましたから。
かなりまだ本調子じゃないですね」
「ああ」
涼は短く答えた。
今日の予定表を取り上げる。