The side of Paradise ”最後に奪う者”
「あれほどおまえのことを惚れているくせに、時々あいつは整合性のとれない行動をとるな。
不思議だ。
いや、キャパオーバーになって自己保全の逃避になるのか」
綺樹は高木の言葉を聞きながら、まだ迷っていた。
決められないことに、心が焦っていた。
なぜ決断を下せないのだ。
ビジネスにおいて、今までいくつも困難な決断を下せてきたのに。
脂汗をかきそうだった。
どうするか。
やめるのか、やめないのか。
また携帯が鳴り始めたが綺樹はとれなかった。
高木は携帯をとらずに、バッグの取っ手をいじくりまわしている、綺樹を眺める。
携帯が鳴り止んでほっとするが、それで解決ではない。
どうしよう。
涼とよりをもどすかNYに戻るか。
でも条件を出して涼はOKしたんだ。
事実婚は成立だとも言われた。
この件は決まりか?
でもあそこに戻って涼と夫婦関係を始めていいのか。
寝れないのだから、夫婦じゃないんじゃないか。
子供。
そう跡取りを造るのだから、その世話をするための事実婚で、夫婦じゃないなら、縒りを戻すということでもないのか。
頭がますます混乱してきた。