The side of Paradise ”最後に奪う者”

「僕。
 意外と気が長いんだ」


瞬は晴れやかに、だが意味深に笑った。

数秒、意味を取るのに時間がかかってから、綺樹は驚いて目を見開いた。


「そのまま、墓場に行け。
 機会はもうない」


涼の冷たい声がすると腕をとられ引きずられ、そのまま車に押し込められた。

フロント越しに瞬がくすくすと笑っているのが見える。

たぶん。

涼がいたから、煽るつもりでの発言だろう。

車が動き出し、瞬とすれ違う。

最後、目が合った。

ふわっとしたくせ毛の前髪の向こうに、日本人にしては茶色の瞳。

もう笑みは無かった。

孤独の色。

見捨てられた子供の顔だった。

綺樹は目を閉じた。

そう。

私のしたことは残酷だった。

成介に言われるまでもなく、わかっていた。
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