The side of Paradise ”最後に奪う者”
「まあ、僕たちの世界は割合、付き合いの周期が短い傾向があるからね。
ここまで長続きしたのは良かったというのか。
合法的に結婚して、養子を迎えようかという話まで、出ていたんだけどな」
綺樹は無言で自分よりも頭一つ分大きいユーリーを、両手で抱きしめた。
ユーリーは頭を垂れ、額を綺樹の肩に乗せた。
「本当のパートナーとはなんだろうね、綺樹。
深い愛情関係。
深い信頼関係。
肉体関係が無くてもいいんじゃないか」
綺樹は涼との関係を考えた。
「そうかもしれないね」
ユーリーは少し顔を上げ、綺樹と目を合わせた。
「その薬指の指輪を外さない?」
何のことかわからなかった。
きょとんとした顔をしていたのだろう。
ユーリーは愉快そうに笑った。