The side of Paradise ”最後に奪う者”
「僕たち、気が合うよね。
楽しく暮らしていけるよ」
綺樹が表情どころか息まで止めているのに、ユーリーはおかしそうに笑った。
そして耳に口をよせる。
「考えておいて。
急がない」
柔らかに囁く。
「ああ、でも、あんまり待たせられたら、連れ出しにいくから。
フェリックスも巻き込むかな」
まだ唖然としている綺樹にユーリーはウィンクした。
「なんだか楽しくなってきたね。
よし、寿司を食べに行こう」
軽快に立ち上がると、バイオリンをケースにしまい、ジャケットを手に取った。
「どうしたの?
行くよ」
「ああ、うん」
綺樹も急いで立ち上がると、クラッチバッグを手にして追いかける。