The side of Paradise ”最後に奪う者”
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「お父さん。
兄さんたち。
協力して欲しいんだ」
いつもながら軽い調子の笑いに、瞬の父と兄たちはうんざりとした表情をした。
ろくでもないことを言い出しそうな気配に、長兄のほうは既に席を立ちかけていた。
「潰したい人物がいてね」
口元は笑ったままだが、もう目は笑っていなかった。
肉親だけに、瞬がそういう顔をする時がどういう時かわかっていた。
こういう時、父親は改めて瞬が長男でなくて良かったと思い、あるいは長男的な性質があったら、三男だろ
うが迷わず後継者にしたと、残念に思うのだ。
「手段は選ばないんだ。
あれだけ大きいと、叩けば埃は出るしね。
それを利用するつもりなんだ。
時間はあるから」
たぶん、だけど。
瞬はにやりと笑った。