The side of Paradise ”最後に奪う者”

   *


「お父さん。
 兄さんたち。
 協力して欲しいんだ」


いつもながら軽い調子の笑いに、瞬の父と兄たちはうんざりとした表情をした。

ろくでもないことを言い出しそうな気配に、長兄のほうは既に席を立ちかけていた。


「潰したい人物がいてね」


口元は笑ったままだが、もう目は笑っていなかった。

肉親だけに、瞬がそういう顔をする時がどういう時かわかっていた。

こういう時、父親は改めて瞬が長男でなくて良かったと思い、あるいは長男的な性質があったら、三男だろ
うが迷わず後継者にしたと、残念に思うのだ。


「手段は選ばないんだ。
 あれだけ大きいと、叩けば埃は出るしね。
 それを利用するつもりなんだ。
 時間はあるから」


たぶん、だけど。

瞬はにやりと笑った。
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