The side of Paradise ”最後に奪う者”
「どういう字?」
やっと綺樹は涼へと視線を上げた。
ゆっくりとした微笑をする。
「それでも尚、進み行かん」
しばし綺樹の顔をみつめてから涼も微笑した。
「なるほど」
色々あった。
本当に、人の人生にこれだけのことが起こるのかと思うぐらいに。
めげそうになり、くじきけかけ、放棄もしかけた。
それでも道を進み続けた。
そして、これからも。
「お、笑ったぞ」
綺樹は腕の中の子に視線を落とした。
「まだ笑うわけ無いだろう。
反射だ」
大量の育児書を、この数か月の内に読み込んでいた綺樹は冷静に返す。