The side of Paradise ”最後に奪う者”

「いいや。
 笑ったんだよ」


涼は穏やかに言う。


「なんせ、やっと母親に会えたんだもんな」


その言葉に物思いに沈むような表情になった。

私は母か。

では夢見ていた空間をやっと手に入れたのか。

腕の中の子をみつめ、柔らかく微笑した。


「そうか」


幸せが滲むような声に、涼は二人ごとそっと抱きしめた。

綺樹の髪に顔を埋める。

そして願った。

これからの家族の幸せを。

限りなく。

続くことを。



・・・誰かに。

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