The side of Paradise ”最後に奪う者”
*
カツーン、カツーン。
深夜の廊下に足音が不気味に響く。
背後に黒い暗闇をひきつれ、ひとつのドアの前で立ち止まる。
黒闇は渦巻いてから、後方へ戻っていった。
ノックしてから返事を待たずに入る。
デスクの前で座っていた白衣の男は驚くこともなく、二人は目で挨拶を交わした。
白衣の男はモニターに2枚の白黒写真データを開いた。
「これが前回。
こっちが一昨日撮った物だ」
人間の頭蓋骨。
ペンで脳幹の境目を指す。
「あやしい」
じろりと見上げる。
「詳しい検査を進めたい」
相手はモニターを見つめながらしばらく無言だった。