The side of Paradise ”最後に奪う者”
一度も見たことはないが、生息地が水辺だというのを読んだことがある。
そして水は低いところを流れる。
庭園の階段を降りていくと、水の流れる音がした。
一体どの辺りだろう。
水辺に立って流れ行く川を凝視する。
光を確認することが出来ない。
場所を間違えたのだろうか。
本当に何もかも運が悪い。
しばし、ぼんやりと川下を見つめていた。
先程、バーで流れていたピアノ曲、“亡き王女のためのパヴァーヌ”が頭の
中で流れ、川音とはもる。
酔っていたせいだろう。
聞こえてきた、その声色に気が付くのが遅れた。
ちらりと見ると、間違いようのない相手だった。