The side of Paradise ”最後に奪う者”
「確認しましたら、大きな山の仕事がやっと片付いたので、ご褒美にしばらくビジネススクールに通うそうですよ」
「彼女に電話したのか?」
「しました」
なんでおまえがと言いそうになる。
「そうか」
さやかにも電話したことは黙っていた。
涼と会った事で綺樹の状態が悪化し、今や口にするのが水か薬かアルコールだけの上、意識が続き限り仕事をすること。
本人がさやかに、薬とアルコール漬けだから死んでも腐らないよ、とブラッ
クを言っていたこと。
今、それを涼に伝えてもまだ理解できないだろう。