またね…
先輩はあと何年生きられる?




もしかして何ヵ月?



何週間?



何日?





いつになるかわからない。



今まで先輩は病院を出られなかったから、まだ全然私と思い出を作れなかったね。




でも、私はまだ残りがある限り、奇跡が起こると信じるよ。





「なぁ…美希…。」


「なぁに?」



私は気分が明るくなくても先輩の前では明るくするように努力している。



先輩を元気付けることしか私にはできないから。



「俺…、外に出たいんだけど、いいかな?」



先輩が初めて外に出たいと言った。



私にはそれがすごく嬉しくて…


嬉しくて…




「うん!出よっ!看護師さん呼んで来るっ!」


私は走って看護師さんを呼んだ。



もう先輩は歩くこともできなくて、車椅子だった。



「はぁ〜!久々だぁ!」


先輩は久しぶりに笑っていた。



「そうだね〜!たまには外に出るのもいいでしょ!?」


「そうだなっ!でも自分で歩くこともできない俺がダサくて…」


「そんなことないよ!どんなときでも先輩はかっこいいよ!」


周りの人から見たらただのバカップルにしか見えないだろう。



でも私達にとってはこの一瞬も大切なんだ。



「まぁなっ!早く治して美希との赤ちゃんが欲しいなっ!そのためには練習が必要だなっ!」


「先輩のエッチー!」


私達は笑いながら病院の庭を歩いていた。



こんなに心の底から先輩と笑ったのは久しぶりだな。




< 121 / 201 >

この作品をシェア

pagetop