またね…
「帰ろう。」


いつも普通に聞く言葉だけど、今の先輩の言い方はいつもとは違う。




怖いっ。



昨日の別人のような先輩が頭をよぎる。








「た、ただいまぁ…」


先輩の顔色をうかがいつつ、いつもどうりに家に帰った。



「アイツ、お前の元カレ?」

聞かれたくないことを聞かれてしまった。


「う、うん。そうだよ。」



「なんで俺に言わなかった?」



「な、なんで?そうゆうことって言わなきゃいけないことなの?」



わかってよ。



昨日、わかってくれたんじゃなかったの?




「なんでだよ。一緒に暮らしてるんだから、当たり前だろ?」


当たり前…?




なんで、こんなことが当たり前なの?




「なんで、当たり前なの?別に言わなきゃいけなくないじゃん!!一緒に暮らしてるからって、私にも言いたくないことだってあるよ!!」



私は田辺君とは別れ際に色々あった。


香奈以外は誰にも言えない。

そこまで強く反発したつもりじゃなかった。


なのに、先輩は


「なんで言えねぇんだよ!!」


そう言って、私を殴り、蹴ってきた。
髪も引っ張られ、痣ができるほど殴り続けられた。



「い、痛いよ。先輩…」



声も出せないくらい痛かった。


でも、一番痛いのは体なんかじゃない。

心なんだよ。


痛いよ…




先輩…
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