またね…
先輩…



私のことをかばったの?

私のために見殺しなんかにしなくていいのに。



「美希っ!」


来たのは香奈と光輝だった。


「香奈ぁぁ。どうしよう。私が先輩を…もっと速く歩いてたら…」


私は自分を責めるしかなかった。



今日、この日をどんなに楽しみにしてたか…



「美希、自分を責めないで!今は先輩が生きていることを願おう!?前のことなんて言ったって先輩が助かるわけじゃない。今の私達には願うことしかできないんだよ!」



「香奈…。そうだよね。ありがとう」



香奈のあのときの言葉が私にとってどんなに心強かったか。



「美希っっ。」

次に駆けつけて来てくれたのは母親と義理の父親だった。



お父さんが来るとは思わなかったよ。


お母さんが再婚してから挨拶もするか、しないかの仲だったのに…



「美希っっ!無事でよかった。」

「無事なんかじゃない。あそこで先輩が今、頑張ってんのに、お母さんはそれ!?」



お母さんは何もわかっちゃいない。



私の気持ちなんてわからないんだ。


「真山君はどうなんだ?」

1ヶ月以上話してなかったお父さんと久しぶりに話す。


「まだ、手術してる。」


手術室の横には先輩の家族がいた。


先輩が私のことを守ったから目も合わせられないじゃんか…


神様はなんであそこで先輩を止めなかった?


先輩がこんな目に会うなら私が死ねばよかった。


先輩を殺した私なんて死んだのと同じだよ。
< 54 / 201 >

この作品をシェア

pagetop