またね…
次の日もまた次の日も私は先輩に会いに行った。



でも、先輩は絶対に美希なんて呼ばないんだ…


思い出せないのはわかってる。


でも、まだどこかで私のことを思い出してくれるんじゃないかって思っている自分がいるんだ…



明日は日曜日。


私は張り切って先輩が美味しいって言ってくれた手作りのハンバーグを作った。

そして、先輩とおそろいのお弁当箱に入れて…


病院に着くと先輩の病室から女の人の声がした。



仕方ない。

わかってるよ。

私のこと、覚えてないんだもんね。

泣いたって、変わるわけではない。

でも自然と涙が出ちゃうんだ。

声を殺して泣くともっと出てくる。



枯れることのない涙。

早く枯れてしまえばいい。


泣いたって無駄なんだ。




私は自分にそう言い聞かせていた。



また後で来よう。


今行ってもまた泣いてしまうだけ。


だから、少し休もう。


そう思って私は病院の近くの公園で休むことにした。



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