【完】私は貴方を愛せない
私は何時間という時間を祐樹の手を握って過ごした。
あんなに温かかった手はもう冷たくなっている。
このまま復讐してもいいのだろうか。
こんな風に今まで復讐した相手にこんな感情を抱いた事はない。
「もう、進むしかない」
祐樹の体を椅子から床に降ろし手を組ませた。
呼びかければ目を開けてくれそうだ。
・・・そんなわけないのに。
彼が最後に言った寝室のベッドの枕が気にかかり、私は急いでそこへ向かう。
「・・・何があるんだろう」
彼の香りがする枕を取ると、下には白い封筒が置いてあった。
私はその封筒を拾い、中を確認する。
そこには祐樹から私に宛てた手紙が入っていた。