【完】私は貴方を愛せない


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前田杏奈様

あらためまして杏奈へ


この手紙を読んだという事は、君があの小瓶を使ってくれたという事だね?


ありがとう。

あれ、外国で流通してる毒薬だったんだ。
本当に効くかは俺にも分からなかった。


でも効いたんだね。良かった。



ここには俺の気持ちを全て書こうと思う。

戯言だと思って見てくれればいい。



俺は昔馬鹿だった。
金が無くて、上手い話に乗っかってしまった。

金が無くても、仲間がいればいい。
幸せは近くにあるという事を分かっていなかった。


今になってだけど本当に悪かった。
命がいくつあっても君には償いきれないだろう。


けれど、こう思えたのは最近だ。

最近と言ってもホストクラブやキャバクラを経営し始めて成功して、家族が出来たあたりなんだけどね。



幸せになれたから気付いたんだ。

いや、俺は元々幸せだったのにそれを壊して違う幸せを手に入れた事に。



もちろん君の両親から奪ったお金がなかったら、家族という幸せを手に入れるなんてできなかっただろう。

けど、俺は同時に仲間と言うものを失った。



そして、高校を卒業するという君の事を思った。

俺がのうのうと生きている間にも、君は辛い過去を背負って生きていくしかないんだと。



だから俺も過去を忘れず背負っていくと決めた。

そこへ君が現れた。



もちろん最初は分からなかったけど、タクミが教えてくれた。



タクミはきっと君を陥れるかもしれない。
気をつけてくれ。
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