【完】私は貴方を愛せない
「・・・これが結末なんだよ瀬川」
「・・・」
「ごめんね。斗真君」
「・・・」
斗真君は何も言わずただ下を向いたままだ。
私は後ろ髪を引かれる思いで吉崎さんの進む道についていく。
だんだんと小さくなる斗真君の姿。
彼は最後に私に何を思ったのだろうか。
最低だと思ったのか。
それとも・・・。
「おい。タクシーで空いているビルまで行くぞ」
「・・・分かったわ」
「せいぜい俺に殺されないようにするんだな」
「警察が民間人殺していいのかしら」
「お前も三人殺してるだろ。俺には証拠も揃ってる」
「言いがかりね。揃ってるわけないじゃない」
「それはどうかな?」
意味深な発言と共に先にタクシーに乗り込んだ吉崎さん。
私はバックの中のナイフを確認してからタクシーに乗り込んだ。