【完】私は貴方を愛せない
「料金は950円です」
私がバックの中から財布を出そうとすると、吉崎さんはそれを止めた。
そして自分の懐から5000円を出す。
「お釣りいらないよ。ありがとね運転手さん」
「お、お客さん!」
運転手の人はお金を必死に返そうとしたが、吉崎さんの頑固さに負けたそうだ。
しぶしぶ帰って行った。
「さて・・・二人きりだね。前田さん?」
「そうね」
誰もいないビル。
吉崎さんはどんどんと階段をのぼる。
私はそれについて行った。
ここで、なぜ私たち一家がこの人に狙われたのかを知る事ができる。
私の復讐劇も最後だ。
「前田さん」
「なんですか?」
「僕とは体を絡めてくれないんだ?」
「・・・はい?」
「いやー殺した三人とはシたんだろ?だったら復讐する俺にだってする権利はあるはずだ」
「それは復讐する為の演技で!!好きでやったわけじゃ」
「うるさい。黙れ淫乱女」
静かに。
そして氷のように。
吉崎さんは私にそう言った。