【完】私は貴方を愛せない



「そして、あかねは疲れたと言い残してこの世を去った」


吉崎さんは再び私に近づいてきた。

今度は右手に何かビンのようなものを持って。



「・・・お前に復讐を果たさせてやると思うなよ?元凶は全てお前だ!整ったその顔この塩酸でぐちゃぐちゃにしてあかねがとった行動と同じ事させてやる!幸いここは高いビルの上だしな?落ちたら即死だ」


「・・・」



私は何故かその場から動く事ができなかった。


ううん。

むしろ待っている。


私は今まで自分のせいで両親が死んだのだと思った事などない。


全ては殺した人たちが悪いだとばかり思っていたのだから。



それが、本当は私のせいだったなんて。


遠回りしてしまうけど全て私のせい。




だったら私がこの世に存在する意味なんてない。


今すぐにあかね先輩の元へ行き謝りたい。




「ちょっと痛いかもしれないけど、動くなよ!」



吉崎さんが瓶を思いきり私にかけようとした。


私は目を閉じる。






「杏奈!!!!!」



私は死を覚悟したと言うのに。



神様はなんて不公平なんだろう───。
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