【完】私は貴方を愛せない



「・・・僕はあかねが好きだった。一番近くにいたのに、気付いてもらえなかった。でも傍にいたのに。あいつは僕を置いて逝ったんだ。どうして?どうしてなんだよ」


「先輩っ」


「何が警察だ!そんなもの私情には負けてしまうだろ!・・・お前だって大事な人を失えば僕と同じ行動をするはずだ。きっとな」


「言ったでしょう!俺は先輩のようにはならないと」


「・・・ふっ」



吉崎さんはあざけるように笑う。

でも、私からどんどんと体を離していった。



「前田杏奈」


突然名前を呼ばれ体がびくっと震える。


「残念ながらお前に復讐を完成させるなんて事させない。・・・もやもやした気持ちを持ちながら生きるんだな!」



高笑いをしながら吉崎さんは開けっぱなしになっていた窓に勢いよく飛びこむ。


もちろん外は窓だ。




「杏奈さん!見ちゃ駄目だ!」


斗真君は急いで私の目の前に立つ。


私は茫然とその姿を見つめていた。






ドサッと言う音共に静寂が訪れる。



吉崎匠。

私が最も憎んだ相手は自ら命をたった。



あかね先輩と同じ自殺という道で人生を終わらせたのだ。



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