【完】私は貴方を愛せない
「・・・はぁ・・・はぁ」
ようやくキスから解放してくれた斗真君は、少しだけにこりと笑った。
「生きる意味がなくなってしまったのなら俺の為に生きてください」
「斗真君の為?」
「そうです。俺の為に」
「・・・私は」
「拒否権は貴女にありません」
真剣な表情で斗真君は私に言う。
どうすればいいのか私には分からなかった。
「今度こそ貴女を絶対に守ります」
真っ直ぐな瞳に私は心を貫かれる。
やっぱり私は斗真君の事を好きになっていた。
だってこんなにも切ない気持ちになっているんだもの。
後悔の心と斗真君への想い。
今はそれだけで生かされている気がした。
「杏奈さん。俺と一緒に生きてみませんか?」
「・・・本当に私でいいの?」
「そうやって聞くものじゃないっすよ!杏奈さんがいいんです」
「・・・本当に」
「貴女の罪を一緒に背負います」
ありがとう。
心からそう思えた。
こんなにも私を想ってくれている。
私は不幸なんかじゃなかった。
幸せだったんだ。