【完】私は貴方を愛せない
「うぅっ・・・出る!」
「イく・・・イっちゃう!!」
「中に、中に出すぞ!!」
お客さんが疲れ果ててしまった頃に
私はシャワーに入って、自分の体の汚れを落とす。
そしてシャワーから出ると
一目散にお客さんの脱いだ服から財布を取りだした。
「・・・10万。少ないわね」
さっとお金を抜き取ると、
空になった財布を眠っているお客さんのベッドに投げる。
「中に出した代償としては、少々安くついちゃったわ」
脱ぎ捨てた服をもう一度着て、
私は部屋を出ようとする。
だけどその瞬間。
「警察だ!!!!」
怒鳴り声と共に
たくさんの足音が聞こえてきた。
「警察・・・!?」
私は急いで着ていた服を脱ぎ、
ハンカチでバッグの中に入っていた包丁を取りだした。
ベッドで寝ているお客さんの手に
その包丁を握らせて、思いきり自分のお腹にその包丁を刺す。
激しい痛みが私を襲った。
「・・・っ」
意識がなくなっていく中。
私を抱きかかえる男の人の姿がうっすらと見える。
ふわっと
柑橘系の香水の香りがした。
同時に私の意識は完全になくなった。