【完】私は貴方を愛せない
私が目を覚ますと
そこは病院の中だった。
案の定
私は上手くやれたらしい。
ガラガラと病室の扉が開き、誰かが入ってきた。
私はゆっくりと顔をそっちに向ける。
まだぼんやりとする視界の中、見えたのは若い男性と私よりも少し上くらいの男性の姿だった。
「失礼します」
年上の男性がそう言った後、
若い男性も頭をぺこっと下げて私のベッドの横の椅子に座った。
ふわっと柑橘系の香りが私の鼻をつつく。
この香り・・・。
考える間もなく
年上の男性が私に声をかけてきた。
「お身体の調子はいかがですか?」
「・・・なんとか」
「それは良かった」
「ところで、貴方がたは?」
「ああ、申し遅れました。僕達はこういう者です」
そう言って取りだしたのは警察手帳。
警察が来るなんて事も思惑通り。
「おい、お前も早く手帳を出せ!」
「あっ!はい、すいません!俺も警察です!」
「ったく。こいつ、新人な者で・・・」
若い男性はどうやら新人の刑事らしい。
私にとってはそんな事どうでもいいんだけれど。