【完】私は貴方を愛せない
「そうだ!俺とこーちゃん、祐樹は昔からの悪友だった。未成年じゃなくなってからもそうだったんだ。俺らは金が無くて途方に暮れていた。バイトもかったるいし、どうすりゃすぐに金が手に入るかって考えたら盗みしかなかった・・・。けどさすがに勇気なんて出なかった」
「・・・」
「でもあるサイトでタクミってやつが俺らにコンタクトとってきて、その盗み手伝ってやるって!!でも俺は気乗りしなかった!!だって・・・そのタクミって奴の計画は人を最初から殺す目当てだったから」
「それは名ざしだったの?」
「前田一家。そう言われていた」
「・・・だったら、私も殺すつもりだったの?」
「タクミのいい分では。だけど、あの日お前は車の中にいなかった。卒業式の前なら三人で車に乗って学校に行くはずだとタクミに言われていたから」
「でも私は乗っていなかった」
「ああ。でも計画は実行しないと俺らに金が入らないと思って、実行した」
「最後のお父さんとお母さんの姿を教えて」
「・・・母親の方はまだ若かったから俺らでレイプした。その姿を父親は動けない形で見ていたんだ。母親はただ涙を流していた。行為を済ませた後まず母親の顔をたくさん殴って気絶させた。その後は父親だ。父親は最後まで抵抗してきたけど、数には勝てずに気絶した」
「レイプ・・・?」
「・・・すまなかった。本当に、なんて言えばいいのか」
「貴方の軽い謝罪なんていらないわ」
誠さんは這いつくばって私の足を掴んできた。
私にすがる姿はきっと誰かが見たら見ものだろう。
「すまないっ・・・。俺、俺一生を君に捧げる。だから、だから命だけは」
「薄汚い命。余計にいらない」
もっていたナイフを私は思い切り振りおろした。
丁度私にひっついてくれていたから思い切り背中に突き刺す事が出来た。
誠さんは逃げれる暇もなく、背中に深々とナイフが刺さっている。
声にない声が足元で聞こえた。