【完】私は貴方を愛せない
再会は突然に
年が明けて1月となった。
二人目の彼といた半年間はそれなりに充実したものだったから、今のふしだらな生活がとても居心地悪い。
こんな年明けにも変態はこぞって店にやってくる。
「前田、指名入ったぞ」
「はい」
「お前はこの店でNO.1だから頼んだぞ」
「頑張ります」
「忙しい年明けだし、給料も弾んでやる」
新しい店の店長は私を認めてくれている。
この店は違法な店ではない割に給料が高い。
だから私は働いている。
最後までシなくてもいいから、子供ができる心配もない。
私は急いで指名された部屋に向かった。
扉を開けると、ベッドに一人の男性の後ろ姿がある。
「すみません。少し遅れちゃったのでサービス・・・」
ベッドに近づいた瞬間。
嗅いだ事のある香りが私の鼻をつついた。
柑橘系の甘酸っぱいあの香り。
ベッドに座っていた男性はゆっくりと振り向いた。
「・・・杏奈さん」
「な、なんで」
「半年ぶりくらいっすね」
少しだけはにかんだ彼。
斗真君が目の前にいた。