【完】私は貴方を愛せない
「今日は時間までお話しませんか?」
「話だけでお金を払うなんて馬鹿みたいじゃない?」
「いいんっすよ。杏奈さんとはお金を払ってでも話す価値ある人ですから!」
「どうして、そこまで」
「・・・分かりません!」
斗真君の笑顔はとても可愛い。
今のは私はこんな事を思えるほど彼に甘えてしまっている。
連絡先を渡した時点で、私は甘えているのかもしれない。
復讐の鬼となる私の癒しとして彼を利用してしまう。
分かってはいるけれど、
やっぱり申し訳なく思う。
「彼女、いるんじゃないの?」
「・・・」
私がふと出した問いに斗真君は黙ってしまった。
これは、肯定だととらえてもいいのだろうか。
「じゃあこんな店に来ちゃ駄目。それに私の連絡先ももらっちゃ駄目でしょう?」
「俺・・・」
「ね?」
「いや、いいんです。あんな奴」
「・・・いるのね」
「あっ・・・えっと」
「斗真君、きっと私に情をうつしてくれただけなのよ貴方は。すぐに彼女の所に戻って?」
斗真君にも何かあるのだろうか。
言いだしにくい事が。
私にもあるし、明るい斗真君にだって隠したい部分もあるだろう。