【完】私は貴方を愛せない
今年は高校最後の夏。
たくさん駆け巡ってきたけれど、泣いても笑っても最後になる。
悔いの残らないようにしないといけない。
私は精一杯マネージャーの仕事をこなした。
もちろん進路の事だって考えている。
叶うかどうかは分からないけど、私はアナウンサーになりたい。
特にスポーツ関係の。
少しでも野球関連に関われればいいなってそれだけ。
他にどんな仕事が野球に関われるのか分からないから、とりあえずアナウンサーになるという事を夢にして有名な大学に進む事にした。
もちろん涼介にもそれは言ってある。
涼介自身はプロ野球に進みたいらしい。
去年右肩を負傷しなかったらスカウトされていたんだそうだ。
だから今年が最後。
いいところを見せて夢を実現してやる。
そう言った涼介の笑顔は最初に出会った頃のように輝いていた。
恋愛も、友情も。
私は全てを満喫出来ている。
これ以上何もいらない。
何かをもらったらその分不幸な事が起きる気がするから。
「行くぞ杏奈」
「・・・うん!私精一杯応援するから」
「まかせろ」
最後の甲子園が始まる。