【完】私は貴方を愛せない
うちの野球部は今回苦戦を強いられた。
守りは良くても攻めが駄目。
今回の新一年生で見込んだ子も、甲子園と言う会場に足がすくんでしまっている。
去年優勝したというプレッシャーがあるんだろう。
なんとか一回戦、二回戦、三回戦と勝ち進んできた。
だけど去年の後遺症なのか涼介の右肩に違和感を感じる。
「大丈夫だよ」
そう疲れ切った顔で言う涼介。
私は心配で次の試合の前日に何度も声をかけてみた。
「うるさいんだよ!!!!!!」
初めて涼介に怒鳴られた。
腫れものみたいに扱ってしまったから?
それとも私の事が嫌いになったの?
そう言いたい気持ちを抑え、涼介の前から去った。
そして始まった四回戦。
ぎこちない空気を残しながら私は皆に作ったミサンガを渡していく。
涼介の番になると、私は急に動けなくなり後輩の子に頼んだ。
野球が私たちを出会わせ
野球が私たちを離れさせる。
きっとこれが"青春"。
四回戦の結果は───
1-2でうちの高校の負けだった。