【完】私は貴方を愛せない
悔し泣きをする同級生。
そして、ただうつむく涼介。
泣きじゃくるマネージャーの子たち。
私の、私たちの夏が終わりを迎えた。
甲子園が終わってから
私と涼介の間には溝が増えていった。
もしかしたらこれが私の不幸のシグナルだったのかもしれない。
そしてそれから数か月。
寒い秋の風が吹くようになった頃。
あかね先輩が自殺をしたという知らせを受けた。
「・・・な、なん・・・なんで」
私は声にならなかった。
野球部のOBが私に連絡してきてくれたのだ。
涼介はこの事を知ったのだろうか・・・。
「理由は・・・疲れた。それだけだった。遺書にはそれしか書かれていなかったらしい」
一体会わない間に何が起きたのか。
私がもっと話を聞いてあげていれば。
あんなにも私を助けてくれた人に何も恩返しができないまま、私は何をしていたんだろう。
涼介ともっと近づけたのも、
野球に興味が出てきたのも、
部活が楽しかったのも、
全部あかね先輩のおかげだった。
唯一。
両親だけが私を癒してくれた。
大好きな家族。
もうこれだけが私の砦だった。