【完】私は貴方を愛せない
店を出ると、さっきは降っていなかったのに雪がちらついている。
「そっか、寒いと思ったら」
空を仰ぐとそこには暗闇。
そして舞い降りてくるふわふわの雪。
右手を広げてみると落ちてきた雪がすーっと消えていく。
「一月だもんね・・・」
突然、電話が鳴り響いた。
慌てて取り出すと知らない番号。
恐る恐る通話ボタンを押して耳を当ててみた。
「もしもし?」
『もしもし!杏奈さん!?』
「斗真君!?」
『あー合ってて良かった。これで俺の番号分かりましたよね?』
そういえば私が電話番号とかを教えただけで、斗真君を電話帳には入れていなかった。
『今雪降ってるんっすよ!?杏奈さんはまだ店の中ですか?』
「ううん、見てるよ。雪」
『まじっすか!綺麗ですよね』
「・・・うん」
『寂しい時はいつでも呼んでください!駆けつけるんで!!』
感傷に浸っている時ほど、優しくされると余計に辛い。
斗真君に「おやすみ」と伝え同じ言葉が返ってくる。
だけど最後には「また明日」そういう言葉がつけたされた。