【完】私は貴方を愛せない


「もうお客さん待機中だよ」


「本当ですか!?すみません!」


中に入るとさっそく店長から声をかけられた。

急いで支度をする。



「・・・ごめんだけど、気をつけてね。今日のお客さん」


「え?」


「・・・その、なんていうか。噂なんだけどね?あの人よくうちの店ひいきにしてくれてるんだけど、暴力・・・というか」


「暴力ですか」


「そう。実際に目の上が切れて泣きながら出てきた娘もいるし」


「気をつけます」


「お客さんの言葉いわく、激しいSMだったと言われたから言い返せなかったけど・・・」


「・・・行ってきます」


「何かあったらすぐ逃げてきなよ!!」


「逃げるなんて、でもありがとうございます」


「大事な従業員だからね」


「頑張ります」



店長の優しさを胸に私は指定された部屋へと入った。



扉を開けるといかにも弱々しい男性がベッドの上に横たわっていた。


「お待たせしました」


「待ってたよぉ」



私の声を聞くなりベッドから起き上がり私に近づいてくる。


近くで見ると一層弱々しい感じがする。


顔は決していいと言える方ではない。

体つきもガリガリで不健康そう。



何と言っても血の気のない顔色が不気味だった。
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