【完】私は貴方を愛せない

私の声が聞こえていなかったのか、話はどんどんと進んでいく。

挙句の果てには
私の腕を引っ張り、近くの喫茶店へと入っていった。



入口近くの席に座り
さっそくメニューを開き
「どれにしよっかなー♪」という無邪気な斗真さんを見た私は、喫茶店から出るのを諦め向かい側の席に座った。


店員さんがおしぼりと水を運んできた。

私は軽く会釈をする。


斗真さんはメニューに目がいっていて、店員には目もくれていなかった。


「前田さんも好きなの頼んでくださいね!」


「じゃあ・・・アイスコーヒーで」


「暑いっすもんねぇ・・・この夏。パフェとかも奢りますよ?」


「あ、いや。私甘いもの苦手で」


「えー!?甘いものは世界中の味方なんだけどなぁ・・・あ!店員さん!こっちこっち」



嵐のように会話がすぎ去っていく。


私が何かを言おうとしても、彼の言葉にかき消された。




< 7 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop