【完】私は貴方を愛せない
私の声が聞こえていなかったのか、話はどんどんと進んでいく。
挙句の果てには
私の腕を引っ張り、近くの喫茶店へと入っていった。
入口近くの席に座り
さっそくメニューを開き
「どれにしよっかなー♪」という無邪気な斗真さんを見た私は、喫茶店から出るのを諦め向かい側の席に座った。
店員さんがおしぼりと水を運んできた。
私は軽く会釈をする。
斗真さんはメニューに目がいっていて、店員には目もくれていなかった。
「前田さんも好きなの頼んでくださいね!」
「じゃあ・・・アイスコーヒーで」
「暑いっすもんねぇ・・・この夏。パフェとかも奢りますよ?」
「あ、いや。私甘いもの苦手で」
「えー!?甘いものは世界中の味方なんだけどなぁ・・・あ!店員さん!こっちこっち」
嵐のように会話がすぎ去っていく。
私が何かを言おうとしても、彼の言葉にかき消された。