【完】私は貴方を愛せない
「大丈夫!?」
店長の声が聞こえる。
傍に近寄ってきてくれたようだ。
私は返事をする事ができなかった。
「暴行容疑で逮捕する」
きっと店長が気付いて警察を呼んでくれたんだ。
もしかしたら少しの間営業停止になってしまうかもしれないのに。
「もうすぐ救急車来るからね!!我慢しちゃったんだね・・・。ごめんね?ああ・・・あんなお客断ればよかった・・・」
ごめんなさい、店長。
そう言いたかったけど声が出ない。
「すみません、ちょっといいですか?」
「あ!刑事さん・・・すみません。彼女今喋れないくらいひどくて・・・」
「少しでも応急手当しますので下がってください」
そう言って店長が離れていく気配がした。
代わりに近づいてくる男性。
「守るって言ったのに・・・守ってあげられなくてごめんなさい」
「・・・?」
「だけど貴女も無謀です。もっと考えて行動してください。店長から聞かされた時点であんなお客様を相手にしようとしないでください。・・・ちょっと染みますよ」
そう言うと私の傷口に激しい痛みが走った。
だけどその後に優しく頭を撫でてくれる。
「斗真・・・君?」
「・・・喋らないでください。体力減ると思うんで」
私はまた助けられた。
今回は自分で招いたものではなかったから余計に斗真君のヒーローさがうかがえる。
こうして私は再び目を閉じ、意識を失った。