【完】私は貴方を愛せない
「あ、えっと・・・目が覚めてすぐに言う事じゃないかもしれないんっすけど」
「何?」
「ほら、入院する日に明日会いましょうって約束してたじゃないっすか」
「ああ、そうね」
「あの日が何だか自分で分かってますか?」
「4月18日・・・だっけ?」
「そうっす」
「・・・?」
私は不思議そうに首を傾げた。
横にいる斗真君は深いため息をつく。
「やっぱり」
まるで私が答えられないのを分かっていたかのように言う。
「何よ。教えて」
「ちょっと待っててください」
斗真君は立ちあがり、個室である病室のクローゼットらしき場所から水色の紙袋を持ってきた。
「本当は当日に渡したかったんですけど、こんな事になっちゃいましたから」
苦笑いでその紙袋を見る斗真君。
私は訳が分からなかった。
「27歳の誕生日おめでとうございます。杏奈さん」
「・・・誕生日?」
「そうですよ」
そう言って差し出してきた紙袋を私は受け取った。