【完】私は貴方を愛せない


私は紙袋の中に入っている四角くて小さな白い箱を取りだした。


そっと開けてみると中には星のネックレスが入っている。


「これ・・・」


「プレゼントです」


「私に?」


「杏奈さん以外に誰もいませんよ?笑」


「・・・」



もう何年も祝ってもらっていなかった誕生日。


心から祝福してくれる人なんていないし、もちろんプレゼントなんてものももらっていない。


全ては高校生の時に全てが終わった。


落ちぶれた生活をして、自分の誕生日なんて忘れ去ってただ一年を過ごしていた。


「気に入りませんでしたかね・・・?ちょっと子供っぽいですか?」


心配そうな顔で私の顔を覗き込む斗真君。

そんな彼の姿が滲んで見える。


また私の目には涙がたまってきたのだろう。



「ああっ気に入らなかったんっすね!?やっぱり指輪が良かったかな・・・?いや、でもそれは違う。ピアス!?杏奈さん開けてませんでしたし・・・。あ、ブレスレット!?」



私の言葉を聞こうとせず、その場で慌てる斗真君。


その姿を見て、とても私は彼の事を愛おしいと思ってしまった。





「斗真君」


「あ、はい!?」


「ちょっとこっちきて」


「は、はい!」


「もっと」


斗真君が顔を近づけてきた瞬間に、私は彼の頬に軽くキスをした。
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